2026年版・個人事業主とフリーランスの経費と控除。

青色申告特別控除(最大65万円)、家事按分、医療費控除、ふるさと納税、社会保険料控除 — 制度を知らないことより書類が弱いことが税金過払いの主因です。実際に何が経費・控除になるか、何を保管するか、どこでつまずくか。

本記事は一般情報であり専門的助言ではありません。具体的な状況については税理士にご相談ください。

個人事業主が青色申告を行うと、最大65万円の青色申告特別控除(e-Taxまたは電子帳簿保存利用時)、家族への給与の経費算入(青色事業専従者給与)、純損失の3年繰越などの特典が得られます。フリーランス・個人事業主とも、業務との直接的・合理的関連性がある支出は必要経費として控除できます。所得税法・法人税法のキーワードは「業務遂行のために必要」と「客観的に証明できること」です。多くの人が思うより広く認められますが、まさに「客観的に証明できること」のところで多くの人がつまずきます。

本記事では、2026年に日本の個人事業主、フリーランス、副業者が利用できる主要な経費・控除について整理します。各カテゴリーで、何が認められるか、保管すべき書類、調査で問題になるよくあるミスを扱います。

始める前に:私たちは領収書スキャナーを作っており、税理士事務所ではありません。これは所得税法・法人税法と国税庁の公開情報に基づく一般情報です。税務上のアドバイスではありません。税法は変わり、状況は人それぞれです。資格を持つ税理士が正確に教えてくれます。以下はリファレンスであり、専門的助言の代わりではありません。

1. 地代家賃(事業所の家賃)

事業用の事務所、店舗、倉庫、工房などの賃借料は必要経費に算入できます。最も価値があり、最も混乱しやすいカテゴリーの1つです。

計上できるもの:事業用不動産の賃借料、共益費、礼金(20万円未満は一括、20万円以上は繰延資産として償却)、契約更新料。自宅で仕事をする場合は「家事按分」により、床面積比、利用時間比、コンセント数などの合理的な基準で按分した家賃部分を計上できます。

保管書類:賃貸借契約書、家賃の振込記録、家事按分の根拠(部屋の配置図、業務利用時間の記録など)。家事按分は税務調査でしばしば争点になるため、合理性を示せる根拠資料を残してください。

よくあるミス:家事按分の根拠が示せない。床面積比でいくつ、業務利用時間でいくつ、というように具体的な算定方法を残しておきましょう。

2. 医療費控除とセルフメディケーション税制

所得税法第73条の医療費控除は、本人と生計を一にする家族の年間医療費(自己負担分)の合計が10万円(または総所得金額等の5%のいずれか少ない金額)を超えた部分について、所得控除を受けられる制度です。最大200万円。確定申告で適用します。

対象になるもの:診療費、治療費、入院費、医薬品購入費(治療目的)、通院のための交通費(電車・バスなど。タクシーは原則対象外)、不妊治療費、出産費用、医療器具の購入費、歯科治療費(自由診療含む)。介護保険サービスの一部も対象。

セルフメディケーション税制との選択:スイッチOTC医薬品の年間購入額が12,000円を超えた場合、超過額を最大88,000円まで控除する特例があります。医療費控除との選択で、有利な方を選びます。

保管書類:医療費の領収書、医薬品の領収書、通院交通費の記録、健康保険組合からの「医療費のお知らせ」を併用すれば領収書の提出を省略できます(保管は5年間必要)。

よくあるミス:美容目的の整形やビタミン剤購入などを含めてしまう(治療目的でないため対象外)。健康診断・人間ドックは原則対象外(重大な疾病が見つかり治療した場合のみ対象)。

3. 社会保険料控除

本人と生計を一にする家族の社会保険料(国民年金、国民健康保険、健康保険、厚生年金、介護保険料、国民年金基金、後期高齢者医療保険料、雇用保険料など)は、支払った全額が所得控除されます(所得税法第74条)。

計上できるもの:個人事業主・フリーランスが自分で支払う国民健康保険料・国民年金保険料は全額。家族の分を本人が支払った場合も全額。

保管書類:国民健康保険料の納付証明書、国民年金の控除証明書(毎年10〜11月頃に日本年金機構から郵送)、振込記録。

よくあるミス:適用を忘れる。国民年金の控除証明書を紛失したまま申告期に焦るパターン。届いたら即スキャンしてアーカイブしてください。

4. 小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済(中小機構)、個人型確定拠出年金(iDeCo)、心身障害者扶養共済の掛金は全額が所得控除になります(所得税法第75条)。個人事業主にとって最大の節税策の1つです。

計上できるもの:小規模企業共済の年間掛金(最大月7万円、年84万円)、iDeCoの掛金(自営業者は月最大6.8万円、年最大81.6万円)。

保管書類:中小機構や金融機関から発行される控除証明書。

よくあるミス:制度自体を知らない、または上限まで使い切れていない。小規模企業共済とiDeCoを両方フル活用すると、年間165万円超を所得控除できます。

5. 旅費交通費

業務上の出張費・交通費は必要経費に算入できます。

計上できるもの:電車・バス・タクシーの料金、新幹線・航空券、宿泊費、出張先での飲食費の一部(取引先との会食は接待交際費に分類)、レンタカー、駐車場代、有料道路。マイカー利用なら、ガソリン代、車両保険、整備費、減価償却費を業務利用割合で按分。

保管書類:領収書、交通系ICカードの利用履歴、出張記録(行先・目的・面会者)、出張旅費規程(規程化していれば日当も経費化可能)。マイカー利用なら走行距離記録(業務分・私用分)。

よくあるミス:SuicaやICOCAの私用と業務利用が混在し、仕分けできない。記録のないタクシー代を計上する。出張の業務上の目的を残していない。

6. 研修費・図書費

業務上必要な研修、セミナー、書籍、資料の購入費は必要経費に算入できます。

計上できるもの:業務関連の専門書、業界誌、セミナー参加費、オンライン講座(業務スキル向上)、業務に必要な資格取得の受験料・受講料(業務遂行に直接必要なものに限る)。

個人の社会保険料控除以外の所得控除:個人としては、特定支出控除(給与所得者向け)、生命保険料控除、地震保険料控除なども別枠で利用できます。

保管書類:領収書、講座のシラバス、書籍のリスト。業務との関連を説明できる資料があると安全。

よくあるミス:業務との関連性が薄い書籍まで計上する(一般教養書、趣味本など)。資格取得費用は、業務遂行に直接必要かどうかが争点になります。

7. 損害保険料

事業用資産の火災保険、賠償責任保険(PL保険、E&O保険)、店舗総合保険などは必要経費に算入できます。

計上できるもの:事務所・店舗の火災保険、業務用車両の自動車保険(事業利用部分)、業務上のリスクをカバーする賠償責任保険。個人保険(生命保険、医療保険、個人の地震保険)は所得控除(生命保険料控除等)の対象であり、必要経費にはなりません。

保管書類:保険証券、支払記録、保険会社からの控除証明書(個人保険控除分)。

よくあるミス:自動車保険を旅費交通費と損害保険料の両方で二重計上する。

8. 消耗品費と減価償却

消耗品(10万円未満または使用可能期間1年未満)は消耗品費として一括計上できます。10万円以上で使用可能期間1年以上の資産は減価償却の対象になります。

計上できるもの:事務用品、文房具、プリンターインク、郵送費。機器類はパソコン、プリンター、デスク、椅子、モニター。10万円以上の固定資産は耐用年数に応じて減価償却。20万円未満は3年均等償却の選択も可能。30万円未満は青色申告者の特例で一括償却(年300万円まで)。

保管書類:領収書、請求書、固定資産台帳(減価償却資産については)、納品書。電子レシートとスキャンは国税庁が認めています。ScanLensで紙の領収書をスキャンしてカテゴリータグ付けするのが、これらの記録を保管する最も信頼できる方法です。

よくあるミス:業務と私用兼用のノートPCやスマートフォンを100%業務として計上する。70%が業務なら70%を計上してください。国税庁は誠実な按分を求めます。

9. ソフトウェアとサブスクリプション

業務用ソフトウェアとサブスクリプションは必要経費に算入できます。

計上できるもの:会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)、CRM、クラウドストレージ、デザインソフト、ホスティング、ドメイン、メール、業務用SaaSサブスクリプション。プロフェッショナル向けアプリ(写真家のLightroom、コピーライターのGrammarly、フリーランスの請求管理ツールなど)も含む。

保管書類:ライセンス契約またはベンダーからの請求書、支払記録。サブスクが個人と業務で共用なら、利用割合の根拠を残してください。

よくあるミス:1年間で積み重なる小さな月額サブスクリプションを計上し忘れる。月1,500円のツールは年18,000円。すべて計上してください。

10. 外注費・支払手数料

業務委託費、税理士・弁護士への報酬、振込手数料などは必要経費に算入できます。

計上できるもの:外注したライター・デザイナー・エンジニアへの報酬、税理士への顧問料・申告報酬、弁護士相談料、社労士への業務委託、業務に関連する各種手数料、銀行振込手数料、決済代行手数料。

保管書類:業務委託契約書、請求書、納品物、源泉徴収の記録(必要な業務種別の場合)、振込記録。

よくあるミス:個人事業主への外注で源泉徴収義務を見落とす(原稿料、デザイン料、講演料など特定の業務は源泉徴収が必要)。

11. 接待交際費

事業に関係する接待・贈答などの費用は接待交際費として必要経費に算入できます。個人事業主は法人と異なり上限規制がありませんが、業務との関連性を明確に示せることが必要です。

計上できるもの:取引先との会食、お中元・お歳暮、慶弔費(取引先関係)、得意先との打ち合わせ茶菓代。事業との関連性が明確で社会通念上妥当な範囲。

保管書類:金額、日付、場所(店名)、業務上の目的、参加者の氏名。領収書だけでは不十分で、文脈が必要です。領収書スキャン運用で各スキャンにメモを追加できる仕組みが、これをリアルタイムで記録する最も実用的な方法です。

よくあるミス:誰と会食したか何を議論したかの記録がないこと。国税庁は議事録までは求めませんが、「[顧客名]との昼食、第2四半期プロジェクトについて」のような短いメモは見たい情報です。

12. ふるさと納税と寄付金控除

地方自治体への寄付(ふるさと納税)と認定NPO法人等への寄付は寄付金控除の対象です。所得控除(所得税法第78条)と税額控除(特定の要件を満たす場合)のいずれか有利な方を選べる場合があります。

計上できるもの:地方自治体への寄付、認定NPO法人・公益社団・財団法人への寄付、政党・政治資金団体への寄付(一部)。

ワンストップ特例:給与所得者で他に確定申告する必要がなく、年間5自治体以内の寄付なら、ワンストップ特例制度で確定申告不要に。ただし個人事業主・フリーランスは原則確定申告するため、ワンストップ特例は使えません。確定申告で寄付金控除を適用します。

保管書類:寄付金受領証明書(自治体・団体から発行)、振込記録。マイナンバーカードと連携した「e-Tax」なら一括管理できます。

よくあるミス:ワンストップ特例を申請したのに確定申告もしてしまい、ふるさと納税分が二重に処理される。確定申告するならワンストップ特例の申請は無効になります。

13. 通信費(業務利用分の按分)

インターネットとモバイル通信費の業務分は必要経費に算入できます。

計上できるもの:自宅のインターネットや個人スマートフォンを業務に使う場合、業務利用相当の割合を計上できます。業務専用のSIMがあるなら全額計上可能。重要なのは合理的な按分。スマートフォン利用の60%が業務なら、料金の60%を計上します。

保管書類:毎月の請求書と業務利用割合の根拠。通話を1件ずつ記録する必要はありませんが、按分方法を説明できる必要があります。年内で割合が安定しているほうが、月ごとに理由なく変わるより擁護しやすくなります。

よくあるミス:明らかに私用にも使っている個人スマートフォンやインターネットを100%業務利用として計上する。国税庁は合理的な割合を期待しており、100%は調査の招待状になります。

控除そのものが調査の問題になることはまれです。問題はほぼ常に書類にあります。記録がないか、記録に国税庁が求める情報が含まれていないかです。

調査に耐える記録

上のすべての控除に共通するテーマは書類です。国税庁は各経費について金額・日付・業務上の目的を示す記録での裏付けを期待します。一部のカテゴリー(接待交際、出張、車両)では書類要件がより具体的です。

個人事業主・フリーランスにとって最も実用的なアプローチは、領収書を受け取ったときにスキャンし、業務上の目的のメモを追加し、カテゴリー別に整理することです。ScanLensはこの運用のために設計されています。オンデバイスOCR、経費カテゴリーごとのタグ付け、携帯紛失でも記録が残るクラウドバックアップ。ただし使うツールに関わらず、リアルタイムで領収書を捕捉することが重要です。年末の薄れた感熱紙の箱は、控除を失う典型的な経路です。

記録は法人税法では7年(青色申告で繰越欠損金がある場合10年)、個人事業主の青色申告では7年(請求書・契約書・領収書などは5年)保存します。私たちの電子レシートと国税庁のガイドで保存ルールを詳しく解説しています。

免責事項

本記事は所得税法・法人税法と国税庁の公開情報に基づき、日本の個人事業主・フリーランス・副業者向けの一般的な必要経費・控除の情報をまとめたものです。税務上のアドバイスや専門的指導の代わりではありません。税法は変わります。控除の上限や要件は変わります。状況は人それぞれです。資格を持つ税理士と協力して、どの控除が適用されるか、どう正しく申告するかを判断してください。

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